奇想天外、元気ができるパロディ・オペレッタ
フレンチ・オペレッタの名作をドイツ語訳によって映画化。オッフェンバックのオペレッタは、彼が元々ドイツ人であることなどから戦後ずっとドイツの歌劇場での上演が多く、ギリシャ神話パロディでもあり言葉の違和感はまったく無い。配役が豪華。モッフォは美貌は当然として、少々衰えかけた歌唱もコロラトゥラの聞かせ所などを得て奮戦。コロは本業であるワーグナーの役どころに近いせいか(そうかあ?)歌も演技も余裕たっぷりだ。脇が名優マインラート以下また凄く、驚異のバス歌手レブロフのインチキ神官、セラフィンのスケベ親爺アキレス、そしてアイアス1号2号と二人のヘテーレ役に本物の双子。テノールとソプラノで各1組、若手で芸達者の双子を用意できるとは、当時のドイツオペラ界の層の厚さ恐るべし。 おそらくは舞台上演を踏襲した映画化で、演出はオールセットを駆使して奇想天外やりたい放題。いきなり監督が登場して長々と解説を始めて笑わせる冒頭から、人を食ったラストまで、少しフェリーニ調で楽しい。繰り返し見ていると、隅っこにいるだけの4人の女王(?)や群衆一人一人にまで親しみが出てくる。 演奏はミンコフスキー指揮のCDなんかに比べるとシンフォニックだが軽やかさは充分、澄んで美しい音色と浮き立つようなリズムに身を委ねているだけで気持ちがいい。すぐれた演奏による音の快楽、美男美女と芸達者たちによる目の保養、捻った脚本と演出よる笑い。元気が出る映画だ。
ニホンモニター株式会社ドリームライフ事業部
喜歌劇《美しきエレーヌ》 [DVD]
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